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ITプロマネのブログ

IT業界、プロジェクトマネージャーのブログ

自給自足6 紫色の小さな花

こちらへ来ると1週間ぐらい、下痢をする。

水も食事も僕には合わないのだろう。f:id:one_piece_of_leaf:20170313165111p:plain

ある時、そろそろいっぱいなので肥え汲みをしようと言うことになった。
まあ、何ともいえないにおいだ。
アンモニアのような強いにおいが鼻を突く。
そういえば小学生の頃両親の実家にいくと必ずつきまとうにおいだった。
懐かしいけど、やはりくさい。
まあ、ともあれ今日の仕事だからやらないわけにもいかない。

一斗缶にくみ出しては、肥だめにかついで捨てにいく。
なれている人は棒の両側に一斗缶をぶら下げるそうだ。
重くて一つだけでも大変だが、問題は重さではない。
ふたのない一斗缶を、もちろん舗装道路ではない、
でこぼこの山道をかついで何往復もする。
木の根などにつまずこうものなら、一大事だ。
十分気をつけていたのだが、何往復もしているうちに、
一斗缶の重さに耐えられずに、手が下がってしまっていた。
そして、一斗缶が木の根にぶつかった。
一斗缶が揺れ、入っているものがピチャという音を立てて跳ね上がる。
まるでスローモーションビデオを見ているようだ。
その跳ね上がったものが何とか体に触れないように、
体と一斗缶のバランスを変える。
うまくよけたっと思ったのもつかの間、
左足の膝のあたりにビシャ。
うわっ、と立ち止まったのがまた悪かった。
揺れる一斗缶から次の跳ね上がりが、目にもとまらぬ早さで唇に。

あの臭いは1週間は消えない。

この土地へ来てとても美しい景色はいろいろあるが、
その中の一つが、実は肥だめである。
肥だめの周りを紫色の小さな花が埋め尽くす。
見とれてしまうほど美しい。
そして皆、足を踏み入れてしまう。

彼らもあの臭いと1週間お付き合いすることになる。
自然は恐るべし。

自給自足

自給自足5 刺繍

先生が講演で1週間ほど不在となった。

怖い先生がいなくなると、羽を伸ばしたくなるのが人情というものだ。
ポンコツの車があった。これで、清里に行こうと言うことになった。
ところがガソリンが入っていなかった。
もちろんお金もない。
みんなで考えた。そうだ、アルバイトをしよう。
村の人たちに相談したところ、
ようやく見つかったアルバイトはなんと刺繍の仕事。
毛糸で編んだセーターに刺繍を施す。
女の子はよいが、男どもは初体験。
縫い込んだり、ほぐしたり、さんざんで、
男4人女1人でふた晩徹夜してようやくガソリン代を稼いだ。
これ以上みすぼらしい姿はない5人は、清里へ向かった。

やはり、場違いだった。

我々若僧は酒が飲みたくて仕方がない。
しかしいつも通り金がない。
たまに差し入れがあっても、あっという間に飲み干してしまう。
飲んでばっかりいると先生にしかられる。
先生が講演でいなくなると天国が訪れる。
鬼の居ぬ間に、しかし、金がない。
あるやつが言い出した。
先生のベットの下にブランデーがごろごろしていると。
よし、戴こうということになった。
まかないの人が寝静まった後、決行。f:id:one_piece_of_leaf:20170313165023p:plain
なんと今晩はブランデーだ。
しかしまた、あっという間になくなってしまった。
どうにも収まらないので、お勝手に。
料理酒を見つけた。
しかしこれも、あっという間。
とうとう、養命酒まで飲み干した。

 

自給自足4 幻想

ここでの食生活は健康そのもの、といえば聞こえはいいが、結構大変だ。

お米と味噌、そば粉はふんだんにある。
暖かい季節はいろいろな野菜がとれるが、
寒くなると野沢菜、切り干し大根ぐらいしかなくなる。
村を歩いていると、時々声をかけられる。
この肉もう売れないからもっていきな、と。
よく見ると黒ずんでいていかにも売れそうにない。
しかし、肉は黒ずんだあたり、つまり酸化が始まって、
腐りかけぐらいがうまいのだ。ちょっと得した気分。
こんな風にただでもらったときや、
お客さんが差し入れてくれたときぐらいしか、肉にはお目にかかれない。

お米もおいしいがここの味噌がまたうまい。
ある時ここの先生が訪れたお客さんに味噌の作り方を説明していた。
先生曰く、とにかくこつは裸足で丹念に味噌を踏むことだと言っていた。
ぞっとした。
実は先生は水虫なのだ。
まさか、水虫の隠し味?

どのくらい続いたことだろう。
ろくな食べ物がなくなり、野沢菜と切り干し大根責めの、日々が続いた。
まかないの人はとても料理がうまい。
それがせめての救い。
漬け込んだ野沢菜を戻して、しょうゆ、みりん、
砂糖などを絡めて炒める。
これをご飯にたっぷりかけて食べる。
七味をふるとなおおいしい。
絶品。

野良仕事を終えて昼食につくと、なんと、
スパゲッティが盛ってあった。
もう、涙が出るほどうれしかった、
それが切り干し大根の炒め物と気づくまでは。
幻想ってみるものだと初めて実感した。

たまにはケーキを食べたいと女の子が言い出した。
お菓子などを食べることのない僕も、
この時ばかりは心底食べたいと思った。
材料はほとんどそろっていたが、問題は卵だった。
鶏は10羽ほどいたが、なぜか、1日に1個産むか産まないか。
まれに、2個産むこともある。
なぜこんなに産まないのか。
人間もそうだが、きっと彼らもろくな物を食ってないせいだと思った。
違った。
養鶏場で使い物にならなくなった鶏をただでもらってきているからだった。
そもそも卵を産める状態ではないのだ。
その上、ここの先生は体が悪く、唯一の栄養源として、
まかないの人は、10羽が産んだ一つの卵を毎日先生のもとへ。
これではいつになっても、ケーキにありつけない。
僕たちの結論はでた。先生には申し訳ないが、
まかないの人より先に卵をとること。
その当番に僕がなってしまった。f:id:one_piece_of_leaf:20170313164852p:plain
日々野良仕事があるのだが、みんなの合意のもと、
一日中、鶏小屋付近にいなければならなくなった。
使命は、まかないより早く、卵を見つけ、気づかれる前に、盗むことだ。
しかし、これほど退屈な仕事もない。
つい、鶏にあたってしまう。早く産まんかい。

こうして、できたケーキは、とてもまずかった。
結局、5人分のケーキの材料に2日がかりで盗んだ卵1個。
うまいはずはなかった。

 

自給自足3 スクワット

ある晩懐中電灯を持ってトイレに行った。

用を足す前に中を照らしてみた。
すると、水面がうねっている。
どういうことかと思い、友達を呼んだ。
ウジが湧いているという。
それじゃ、ウジ殺しでも入れるかといい、友達は薬を投入した。
明日の朝が大変なんだよな、といって友達は部屋に戻っていった。
その言葉の意味もわからないまま、床についた。
翌朝、いつも通り、大きいのをしに行った。
トイレの扉を開けた瞬間、ぞっとした。
一面ウジだらけ。足の踏み場もない。

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そのとき、友達の残した言葉の意味がわかった。
こちらの用足しも急を要するので、
外にあったほうきで足下のウジどもを払った。

しかし、本番はここからだ。
ここへ来てから、大きいのをするときには、
それなりのテクニックがいることがわかった。
そう、跳ね返り攻撃を食らうからだ。
大きいのが、おしりから離れたと思った瞬間、立ち上がる。
このスクワットにより、見事跳ね返りの攻撃を回避してきた。
でも、最初の頃は何発か食らってしまっていた。
今回は、絶対に失敗は許されない。
なぜなら、ただの跳ね返りではすまないのだ。
そのとおり、ウジ付き跳ね返り攻撃という、
世にも恐ろしい攻撃を何が何でも、回避する必要がある。
おしりに、ウジ、身の毛もよだつ。

スクワット3回にて見事、攻撃回避。
ほーっとした。

自給自足2 カラス

トウモロコシ畑がある。

その日は一日中この畑を守る役割だった。
何から守るのか、
カラスからだ。

 

我々のトウモロコシは我々の姿そのものを写していた。
一言で言うと、みすぼらしい。
やせ細っていて、小さく、実があまり付いていない。
その上、黄色くなく、白っぽい。
どう見ても旨そうには思えない。
隣に農家が育てている東京出荷用のトウモロコシ畑がある。
まあ、一言で言うと、お見事。
とても大きく、身がいっぱい詰まっていて、
濃い黄色い色をしていて艶もある。
なぜ、みすぼらしい我々のトウモロコシ畑をカラスから守る必要があるのか、
理解できなかった。隣の畑こそ守らなければならないと直感した。
ところが、この直感は見事にはずれた。
カラスはみすぼらしい我々の畑にしか来ないのだ。
なんの敷居があるわけでもないのに、隣の畑には目もくれず。
一日カラスを追い払っているだけで、うんざりした。

アホなカラスの好む我々の畑のトウモロコシを食べさせてもらった。
めっちゃ、うまい。みずみずしく、抜群に甘く、それも自然な甘さ。
カラスはわかっていたのだ。
そういえば、未だかつてないほどうまいスイカもここで食べたものだ。
未だかつてないほどうまいトマトも。
僕は東京ではトマトを食べない。なぜならまずいからだ。f:id:one_piece_of_leaf:20170313164554p:plain
食べることはできるが、旨いと思ったことは一度もない。
ここでは赤くなりかけた頃の、つまり、
まだまだ青いトマトを一日5個は食べていた。
本当の野菜、果物を生まれて初めて知った。
都会の子供が野菜嫌いになるのは無理のないこと。
きれいだけど、まずいからだ。

ここで食べたおいしいもの。

トマトのジャム。
自らの畑ではたいした量がとれない。
農家のトマトを盗むと犯罪だ。
しかし、農家の敷地から出たものをとっても犯罪にはならないそうだ。
そうやって、まだまだ青いトマトをかき集める。
これに砂糖を加えジャムを作る。
これが本当にうまい。

藤の花の天ぷら。
藤の花、そう、ブドウの房のような形をした、小さな花が集まった、あれ。
あまり大きくならないうちに天ぷらにする。
大きくなると芯が硬くなる。
これは絶品だ。

 

技術は見るけど人を見ない

プロジェクトを組むのはPM、課長、部長などの管理サイドの人間の仕事だ。

たとえばシステム開発の場合は、数名の上級SEによりシステムで使用するプログラム言語、データベース、その他ミドルウェアなどが決定される。これによって必要な技術スキルが決まる。次にSE(システムを設計する技術者)、PG(設計書に基づきプログラミングする技術者)など、作業工程毎に必要な技術者工数を見積もる。そして、技術スキルと作業工程スキルの二つの観点から該当する技術者を該当する作業工程開始までに集めてプロジェクトを組むのだ。

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これって何か可笑しくないか。先のコラムでも書いたが、人が技術を身に付けているのだ。何故人間力という観点による選定が行われないのだろうか。本来は人間力、技術スキル、作業工程スキルの三つの観点から選定が行われるべきだと思う。

長くPM業をやり、特にプロジェクトの立て直しを多く経験したが、トラブルプロジェクトの原因を追及

 

すると殆どが、自己保身欲、出世欲など人間の欲が原因となっている。純粋に技術スキルによるトラブルは経験が無い。
ところが開発ベンダーはトラブルの原因を、SEの人数が足りないとばかりに、土壇場になって大量に投入したりする。トラブルの根本的な原因をしっかりと分析するべきだと思う。しかし、そもそも人間力という観点自体を持ち合わせていないため、当然のこととして原因として上がることもない。

次回は僕が経験したトラブルプロジェクトを一つご紹介する。

自給自足1 自給自足の生活

 ボランティア活動に疲れ切って、ちょっと変わったところにいった。

当時の僕は人と30分話すだけで目の下にクマができてしまう。
とにかく疲れる。
こんな状況では活動を続けられない。
ある人にそんな話をしていたら、
自給自足をしているいい場所があるから、
そこへ行って休んできなさいと言われた。

知る人ぞ知る有名な先生がいるところ。f:id:one_piece_of_leaf:20170313164347p:plain
ちょうど行ったのが新緑の季節、なんと緑の美しいことか。
まぶしいほどに、光り輝いている。
近くに泉がわき、その一帯に野の花々が咲き、
蝶が舞い、夜になるとたくさんの蛍が舞う。
蛍を見たのはおそらく初めて。
神秘的にさえ思える光景が続く。

広い敷地の中に、手作りの家が10軒ほど。
住居以外に図書館、米倉、納屋、井戸、どれも感動的なほどポンコツだが、
何ともいえない味わいがある。
他にあるものは田んぼ、畑、犬と猫、鶏、もぐら、キジなどなど。
人は僅かしかいない。

ここに来てしばらくして気づいたことの一つに、
自然の中には完全な直線と曲線がないということ。
これが都会との、あるいは人工建造物との一番の違いなのかもしれない。
どの家も曲がっていて、でもしっかり立っている。

みんなが集まって食事や歓談をする家以外には電気が来ていない。
各自の部屋は、ろうそくのあかりで過ごす。
梅雨の時期、野良仕事もできずに、あまりにも暇なので、
読書でもするかと思い、部屋のろうそくに明かりを付けた。
外界とは板一枚で仕切られているだけ、
風が強いとろうそくの明かりが消えてしまう。
ゆらゆらと揺れる薄明かりのもと本を読もうとするが、
しばらくすると目が痛くなって、とても読んでいられない。
本も読めないとなるともう、何もやることがない。
気が狂うほど時間が長い。
とうとう、考えついたのはろうそくの火を見続けること。
心が落ち着き、何ともいえない気分。
自然に火の中に吸い込まれ、体はリラックス、とても集中できる。
その数年後に知ったのだが、最も有効な集中力を養う方法の一つだという。

こんなへんぴな所で、ちょうど同世代の男性3名と女性1名に出会った。
日本の各地から集まってきている。
この土地での楽しい体験が始まる。