ITプロマネのブログ

IT業界、プロジェクトマネージャーのブログ

ボランティア4 山谷の殺人者

越冬闘争のため、東京の山谷へ来た。

ここも釜ヶ崎同様どや街だ。
夕方頃、3,4人の先輩とこの地区のパトロールをしていた。
大きな通りの反対側で、若い男性二人とおっさんが喧嘩をしている。
先輩たちも気づいてはいるのだが、止めようとしない。
仕方ないので一人で通りを渡り、仲裁に入った。
おっさんが若い二人をボコボコ殴っている。
いかにも無骨で喧嘩が強そうだった。

f:id:one_piece_of_leaf:20170315145856p:plain


みんな酔っぱらっている。

若僧の僕はおっさんに言った。
「おっさんいい加減にしろよ。」
おっさんがなぜか喧嘩をやめた。
そして、こう言った。
「お兄ちゃん、若いのに度胸があるな、
酒をごちそうしてやるから付いて来いよ。」
付いて行った。
未だにあれ以上汚い飲み屋に行ったことはない。
未だにあれ以上まずい酒を飲んだことはない。
酒ではないと思う。アルコールそのものじゃないか。
すごい臭いとすごい味。舌が痺れる。
酔いはすぐ回った。
おっさんの気分はなぜか上々で、身の上話を始めた。

「おれは、若い頃に北海道で3人殺している。
俺みたいな惨めな人生を若い連中に味合わせたくない。
だから、若い連中が喧嘩しているのを見るとつい止めたくなってしまうんだ。」
しみじみと語るおっさん、やけに説得力を感じた。
喧嘩を止めているうちに喧嘩をしていた両方を殴っているのだ。

参った、小便をちびりそうになった。体中が細かく震えている。
おっさんがアルコールを注いでくれるが、コップを持っていられない。
急に弱気になり、ついに敬語で、「喧嘩はよくないからやめましょう。」、
なんて言ってしまった。
自分が恥ずかしかったが、あまりに怖くて、怖くて、
初めて出会った「人殺しさん」だった。

えらくまずい酒と極度の緊張でパトロール隊の宿舎に帰り着いたときは、疲れ果
てていた。
すぐ寝床に向かったが、布団に入るやいなや先輩に引っ張り出された。

「2度とあんなことをするな。
山谷と言うところは、山とも呼ばれ、殺人などの罪を犯したものが、
隠れて住んでいるところでもある。
ナイフを持っている奴らは多いし、拳銃を持っている奴もいる。
俺たちの仲間も何人か殺されている。
命が惜しかったら、2度と喧嘩など止めるな。
いくら止めても必ず、また翌日やる。」

身にしみた。疲れていたから、2時間の説教はとても、きつかった。
下手な正義感では、何もできないことを思い知った。